株はどこで買えるの?
株の売買は証券会社を通して行うのが一般的です。
証券会社の仕事は主に株の売買の仲介です。
株の他にも債券、投資信託・ETF、先物・オプション、金・銀、FX、外国株など、大手になるほど多岐に渡る金融商品を取り扱っています。
銀行や郵便局など証券会社以外の金融機関でも一部の投資信託や債券は取り扱っていますが、株を取り扱っているのは証券会社だけです。
株を買いたいと思ったら証券会社に口座を開設する必要があります。
おすすめはネット証券
インターネットが広く普及した現在では、証券会社は大きく以下の2つに分けられます。
実店舗の窓口や営業マンを通して業務が行われています。さらに「大手証券」「中規模証券」「地方証券」の3つに細分化されます。
ネット証券
店舗に依存せずインターネットを通じて口座開設・本人確認・金融商品の売買などが行われます。現在では個人投資家の多くがネット証券を利用しています。
一般的に株などの売買には取り引きの成立ごとに手数料が発生します。
実店舗を持たないネット証券は営業運営に伴うコストがかからないので、この手数料を安く抑えられるという強みがあります。
証券会社や銀行の窓口にはアドバイザーがいます。
きっとあなたの相談に乗ってくれることでしょう。
しかしそれが本当にあなたのためになるかと言えばそうとも限らないようです。
書籍『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(著者:山崎元)では以下のように述べています。
お金を正しく運用したかったら、銀行には近づかない方がいい
引用元:難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!(文響社)
銀行員や証券マンはあなたの利益よりも自分たちの利益を優先させる傾向にあるといいます。
たとえばあなたが投資信託の購入を検討するため窓口に行ったとします。
そのとき窓口にいるアドバイザーはあなたが得をする投資信託ではなく自分たちが得をする手数料の高い投資信託をすすめてくると述べています。
山崎元さんは「銀行の無料相談窓口にいる人なんて羊の皮をかぶった狼だと思った方がいい」とはっきり言い切ってます(笑)
証券口座の種類
店舗証券とネット証券のどちらにしても口座を開設しないことには始まりません。
証券口座には以下の3種類がありそれぞれ税金の支払い方法が異なります。
口座は3つのうちどれか一つを選択して開設することになります。
口座 | 年間取引 報告書 |
確定申告 |
特定口座(源泉徴収あり) | あり | 不要 |
特定口座(源泉徴収なし) | あり | 必要 |
一般口座 | なし | 必要 |
特定口座は証券会社が売買の利益や損失を計算して『年間取引報告書』という確定申告用の書類を作成してくれます。
特定口座(源泉徴収あり)は年間取引報告書の作成から納税まで証券会社が代わりに行ってくれます。
そのため自分で確定申告をする必要がありません。
特定口座(源泉徴収なし)は証券会社が作成した年間取引報告書を持って自分で確定申告を行います。
一般口座は自分で取り引きをまとめて確定申告も行います。
一般口座を選択するメリットはほとんどないので多くの人は特定口座になります。
NISA口座も忘れずに
NISAは「NISAで節税して賢く運用しよう【準備編#10】」のブログでもお伝えした通り、株式の売却益や配当金の受け取りの際に掛かる税金が免除になる制度です。
節税に直結するお得な制度ですのでNISA口座は必ず開設するようにしましょう。
ただしNISA口座に対応していない証券会社もありますので事前に調べておくことが必要です。
またNISAの口座開設可能数は1人1口座です。
複数の証券会社でNISA口座を持つことはできません。
信用口座の開設について
信用口座とは信用取引を行う際に必要になる口座です。
信用取引ができるようになると投資の幅が広がるので筆者は開設することをおすすめします。
ただし信用取引はリスクが高いため口座の開設には証券会社の審査があります。
審査はあなたの資産状況や取引経験などをもとに行われ審査を通過すれば口座が開設される流れになります。
ここからは簡単に信用取引について説明します。
信用取引とは
自己資金の範囲内で株を売買することを現物取引と呼ぶのに対し、自己資金以上のお金を証券会社から借りてより多くの資金で取り引きする方法を信用取引と呼びます。
証券会社は手持ちの資金のおよそ3倍までのお金を貸してくれます。
たとえば自己資金が100万円の場合、信用取引を行えば300万円まで取り引きすることができます。
このように担保となるお金の何倍にも相当する資金を動かして取り引きすることをレバレッジと呼びます。
この信用取引を利用すれば株価が下落したときに利益を得る空売りを行うことができます。
現物取引では株価が上昇したときのみ利益が発生しますが、空売りを行うと株価が下落したときも利益を得られるため単純に考えてチャンスは2倍になります。
信用取引の注意点
ただし信用取引のようなレバレッジを効かせた取り引きには注意が必要です。
なぜならレバレッジを効かせて利益を3倍にすることもできますが損失も3倍になるからです。
信用取引を利用するのであれば最初のうちは損をしてもいい金額で行うようにし、必ずロスカットを取り入れるようにしてください。
ロスカットとは思惑と違う方向に動いた株をあらかじめ決めておいた株価で手放すことです。
ロスカットを取り入れるメリットは以下の2点です。
②新たな銘柄に資金を投下する機会を失ってしまう機会損失を防ぐことができる
ロスカットをせずに含み損が大きくなり売るに売れない状態になってしまうことは塩漬けと呼ばれています。
塩漬けは機会損失につながってしまうので注意してください。
筆者の経験上、投資で大きな失敗をするときはレバレッジを効かせた取り引きを行ったときです。
特に初心者の方は信用取引は諸刃の剣であることをしっかりと頭に入れ、細心の注意を払ったうえで行うようにしてください。
長期の資産運用しか行わないという方であれば信用取引を利用する機会はあまりないかもしれません。
ただしこういう取り引き方法もあるということは頭に入れておいてください。
ネット証券の2大巨頭
店舗証券よりもネット証券をおすすめするのは前述の通りですが、それではどこのネット証券がおすすめなのかについて紹介します。
代表的なネット証券会社は、SBI証券、楽天証券、SMBC日興證券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券などです。
その数あるネット証券会社を比較したうえでおすすめはSBI証券と楽天証券です。
ネット証券会社を選ぶうえで私が重要視しているのは以下の3つです。
②取扱銘柄数←多いに越したことはありません
③スマホ対応←デイトレードなど短期投資を行う場合は必須です
SBI証券と楽天証券は以上の3点で他のネット証券よりも充実していますしサイトも使いやすくて便利です。
その人気の高さは口座開設数にも表れています。
以下はYahoo!ファイナンスのネット証券における口座開設数ランキングです。
順位 | 証券会社 | 口座開設数 |
1位 | SBI証券 | 6,813,000口座 (2021年3月時点) |
2位 | 楽天証券 | 6,243,338口座 (2021年6月時点) |
3位 | SMBC日興證券 | 3,551,000口座 (2021年3月時点) |
SBI証券と楽天証券の口座開設数は3位のSMBC日興證券に大差をつけていることが分かります。
それだけ利用者から高い支持を得ているということです。
証券口座を2つ持つメリット
SBI証券と楽天証券のどちらか一方でもよいですが、両方の口座を開設することでメリットが生まれます。
書籍『本当の自由を手に入れる お金の大学』の著者である両学長は、自身のYouTube動画『証券口座を2つ以上持つ3つの理由とメリット・デメリット』においてメリットの理由を3つ挙げています。
①リスク分散になるから
②相場が分かるから
③短期投資と長期投資を分けて管理できるから
引用元:証券口座を2つ以上持つ3つの理由とメリット・デメリット(両学長 リベラルアーツ大学)
ちなみにデメリットはIDやパスワードなどの管理がめんどうになることを挙げています。
まとめ
・NISA口座もあわせて開設
・現物取引と信用取引の違い
・おすすめはSBI証券と楽天証券
・口座を2つ以上持つメリット
口座の開設が完了すれば株や投資信託といった金融商品を購入できるようになります。
これで投資を始める準備が整いました。
これまでに紹介してきた『投資を始める前に【準備編】』の内容を振り返り、これからの投資計画の再確認を行ってみてください。
最後になりますが投資は刃物とよく似ています。
刃物は私たちの生活に欠かせない便利なツールであると同時に、取り扱いを間違えれば身を滅ぼす凶器にもなります。
すべてはそれを使う人しだいです。
正しい知識と適切な取り扱い方を身につけていれば投資は私たちの力強い味方になってくれるはずです。
1958年、北海道生まれ。
東京大学経済学部卒業。三菱商事→野村投信→住友生命→同信託→シュローダー投信→バーラ→メリルリンチ証券→パリバ証券→山一證券→DKA→明治生命→UFJ総研と12回の転職を経て2005年より現職。
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