投資入門者必読!金融の基礎知識【準備編#13】

金融機関のはたらきを知ることは世の中のお金の流れを知ることにつながります。「木を見て森を見ず」と言われるように目先のお金だけでなく世の中のお金の動きを俯瞰して見ることができればあなたの投資に対する視野はさらに広がるはずです。

金融って何?

金融とは

金融とは読んで字のごとくお金を融通することです。

たとえばお金の余っているAさんがお金が不足しているBさんにお金を貸してあげれば、Bさんはそのお金を使って新しいことが始められます。

お金を貸してあげたAさんは見返りとしてBさんから利息というお金を受け取ることができます。

お金を融通することでAさんとBさんの両方にメリットが生まれました。

利息と金利

利息とはお金を貸したり借りたりしたときにある一定の割合で支払われる対価のことです。

たとえばAさんが1%の利息をつけてBさんに100万円を貸したとします。

BさんがAさんに返すお金は100万円の1%にあたる1万円の利息を上乗せした101万円になります。

このようにお金の貸し借りが行われる場合、金融の世界では必ず一定の割合の対価が上乗せされます。

この一定の割合のことを金利と呼びます。

割合を表しているので金利の単位は%です。

お金の貸借と金利は必ずセットでもれなくついてくるものだと心得てください。

大雑把に説明しましたがこれが『お金を融通する』ということです。

 

日本の金融機関は3種類

AさんがBさんにお金を融通することでお互いがハッピーになれました。

ただしこのやりとりはお金が余っている人が誰なのか、不足している人が誰なのか、金額はいくらなのか、といったお互いの条件が合わなければ成立しません。

そこでお金の橋渡しをしてくれる仲介者が必要になります。

その仲介者が金融機関です。

日本の金融機関は中央銀行、民間金融機関、公的金融機関に大別されます。

中央銀行
国の金融機関の中核となる公的な銀行であり日本は日本銀行がその役割を担っています。
他国の中央銀行には米国の連邦準備理事会(FRB)、英国のイングランド銀行、欧州連合(EU)の欧州中央銀行(ECB)などがあります。
民間金融機関
民間金融機関はお金が必要な企業が金融機関からお金を借りて資金を調達する間接金融と、株式や債券などを自ら発行して個人から直接資金を調達する直接金融に分けられます。

間接金融

間接金融は預金を取り扱うかどうかで預金取扱機関と非預金取扱機関に分けられます。
・預金取扱機関(普通銀行、信託銀行、信用金庫など)
・非預金取扱機関(保険会社など)

直接金融(
証券会社など)
公的金融機関
政府が全額または一部の資金を出し民間の企業や個人事業者へ融資を行っている金融機関。
(住宅金融支援機構、商工組合中央金庫など)

 

銀行の役割と収益

銀行の役割

ひとつの国の経済では家計・企業・政府の3つの経済主体が活動しています。

お互いにお金の供給者になったり需要者になったりしながらお金は経済社会を循環しています。

この3つの経済主体の間にお金を巡らせているのが銀行という金融機関です。

お金を血液にたとえるなら銀行は心臓のようなものです。

体(経済社会)に血液(お金)を循環させるポンプの役目を果たしています。

 

銀行の収益

銀行はみなさんが預けたお金を個人や企業に貸し出すことで利益を得ています。

具体的にはお金を貸した人たちからもらう利息と預金者に対して支払う利息の差額分が銀行の利益になります。

このように借りたお金の金利よりも高い金利で貸し出して得る利益を利ざやと呼びます。

たとえば預金の金利が年1%で貸し出しの金利が年2%の場合、銀行の利ざやは(2%-1%=1%)で年1%になります。

銀行は利ざやを収益とする他にも為替業務や金融商品の販売なども収益源としています。

 

日本の中央銀行

日本の中央銀行が日本銀行です。

政府が55%、民間が45%を出資する認可法人です。

日本銀行の役割

日本銀行の主な役割は以下の3つです。

発券銀行としての役割
日本銀行は日本で唯一の銀行券(お札)を発行できる銀行です。

お札は国立印刷局で印刷されたのち日本銀行に運ばれて発行されます。

ちなみに貨幣(硬貨)は造幣局で製造されて政府が発行します。

お札には日本銀行、貨幣には日本国とそれぞれに発行元が記されているのでぜひ確認してみてください。

銀行の銀行としての役割
私たち個人が日本銀行に口座を持つことはできませんが、銀行をはじめとした金融機関は日本銀行に預金口座を持つことができます。

銀行は使わないお金があれば預金口座に預けておけますし、日本銀行からお金を借りて個人や企業に貸し出しすこともできます。

つまり日本銀行は銀行の銀行という位置づけになります。


政府の銀行としての役割
私たちが納めた税金や国債の購入代金は政府から日本銀行に預けられます。

預けられたお金は主に公共事業や公務員の給料などに使われます。

日本銀行が政府の銀行と呼ばれるのはこのためです。

ただし政府が日本銀行にお金を預けることはできても、政府が日本銀行からお金を借り入れたり国債を引き受けさせたりすることはできません。

これは財政法という法律で決められています。

その理由として日本銀行は以下のように説明しています。

その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです
引用元:日本銀行ホームページ

しかしこれはあくまでも原則であって国会の議決があれば可能であるとも規定されています。

日本銀行の目的

日本銀行の目的は物価を安定させたり金融システムを正常に機能させたりすることです。

物価とは世の中のモノやサービスの値段を総合的に表したものです。

モノやサービスの値段は常に一定ではなく需要と供給のバランスによって決まります。

需要が供給よりも大きくなって物価が上昇することをインフレーション(インフレ)と呼びます。

逆に需要が供給よりも小さくなって物価が下降することはデフレーション(デフレ)です。

物価の変動は総務省から毎月発表される消費者物価指数(CPI)の変化で見ることができます。

インフレーション
モノの価値が上がってお金の価値が下がることです。好景気のときはモノがよく売れるためモノの値段が上がりやすい傾向にあります。インフレは「需要>供給」の状態といえます。

デフレーション
モノの価値が下がってお金の価値が上がることです。不景気の時はみんなが買い物をする量を減らしてモノが売れ残るため売り手は少しでも売ろうと値段を下げる傾向にあります。デフレは「需要<供給」の状態といえます。

 

日本銀行の金融政策

日本銀行は極端なインフレやデフレにならないように世の中に出回るお金の流通量を調節して物価の安定を図っています。

 

どうやってお金の流通量を調節しているの?

 

日本銀行は銀行にお金を貸す際の金利を上げたり下げたりすることでお金の流通量を調節しています。

この金利のことを政策金利と呼びます。

短期金利とも呼ばれ金融機関の預金金利や貸出金利などに影響します。

たとえるなら政策金利は水量を調節するバルブのような役目といえます。

景気が過熱しすぎてインフレ傾向にある場合は政策金利を引き上げて(バルブを閉めて)お金の流通量を抑えることで景気の沈静化を図ります。

景気が後退してデフレ傾向にある場面は政策金利を引き下げて(バルブを開けて)お金の流通量を増やすことで景気の減速を防ごうとします。

このように物価や経済の安定のために日本銀行が行う政策のことを金融政策と呼びます。

政策金利は金融政策決定会合によって調節する方針が決定された後、日本銀行が各銀行に供給するお金の量を調節する公開市場操作を実施して金利をコントロールしています。

 

マイナス金利とは

現在の日本はデフレの状態にあります。

デフレ対策として2016年にマイナス金利付き量的・質的金融緩和が導入されました。

マイナス金利政策はアベノミクス(安倍晋三政権時の経済政策)の「3本の矢(金融政策・財政政策・成長戦略)」のうちの第1の矢に位置づけられた金融政策のひとつです。

この政策により銀行が保有する日本銀行当座預金の一部にマイナス金利が適用され、預金者であるはずの銀行が金利を支払わなければいけなくなりました。

 

預金した人が利息を払うなんておかしくないかしら?

 

銀行は日本銀行にお金を預けるだけ損をしますから企業への貸し出しや投資に資金を回すようになります。

このように経済の活性化(需要>供給)につながるよう銀行を促すことがマイナス金利政策の狙いです。

現在の日本の政策金利は△0.1%であり、引き続きマイナス金利を適用することでデフレ脱却を目指しています。

 

まとめ

・金融の鉄則「金利」を理解しよう
・銀行はお金を循環させるポンプ
・日本銀行の役割「発券の銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」
・インフレは「需要>供給」デフレは「需要<供給」
・政策金利はお金の流通量を調節するバルブ
・マイナス金利はデフレ脱却のための金融政策

「投資を始める前に【準備編】」はこれが最終回になります。

今回の内容は金融などの動きを国全体から考えるマクロ経済と呼ばれる分野の基礎的な部分を抜粋して紹介しました。

本来は最初に紹介するべき内容だったのかもしれませんが、はじめて投資を始めたという方にお金について難しそうなイメージを持ってもらいたくなかったので最後にしました。

金融の知識が身についてくると初めは意味が分からなかった経済ニュースが少しずつ分かるようになってきます。

経済ニュースが読めるようになるとお金の流れがなんとなく分かるようになります。

何が買われて何が売られるのかといった売買の予測がしやすくなります。

あくまでも予測なので正解は誰にも分かりませんが、金融の知識があればあるほど投資の幅は広がります。

金融の世界はまるで生き物のように日々刻々と変化しますし、知れば知るほど奥が深いものです。

筆者もまだまだ勉強不足だと日々痛感していますが、これから本格的に投資を始めようとするみなさんのお役に立つことができたなら幸いです。

 
投資を始める前に【準備編】
#1/#2/#3/#4/#5/#6/#7
#8/#9/#10/#11/#12/#13
\応援よろしくお願いします!/
にほんブログ村 投資ブログへにほんブログ村 投資ブログ 投資でFIREへブログランキング・にほんブログ村へ

コメント

スポンサーリンク